生命保険の中には、定期保険や終身保険などいくつかの種類がありますが、養老保険もその中のひとつです。
養老保険は、生命保険としての保障だけでなく貯蓄性も兼ね備えているという特徴があり、子どもの教育資金や老後資金の準備などライフステージに合わせた活用方法があります。
しかし、長引く低金利の影響を受け予定利率が低下しており、以前のような高い貯蓄性を保つことは難しくなっています。
そこで、養老保険を上手に活用するために、具体的な保障内容やメリット・デメリットなどをしっかりと確認しておきましょう。
養老保険とは?保障内容や仕組みを知ろう
まず養老保険とはどういった保険なのか、保障内容や仕組みを確認していきましょう。
養老保険の保障内容
養老保険は、保障と貯蓄を兼ね備えている生命保険のひとつです。
保障期間内に死亡した場合には「死亡保険金」が、満期まで生存していた場合には「満期保険金」を受け取ることができ、死亡保険金と満期保険金は同額になります。
たとえば、保険期間10年で満期100万円の養老保険に加入した場合、保険期間内に万が一のことがあった場合は死亡保険金として100万円を受け取れ、満期日を無事に迎えた場合には満期保険金が100万円受け取れるということです。
ちなみに、養老保険のように死亡保険と生存保険のふたつの機能がある保険を「生死混合保険」といいます。
養老保険の仕組み
保険会社では、死亡保険金や満期保険金の支払いに備えて、加入者が支払った保険料の一部を積立てています。
加入者は保障分+貯蓄分の保険料を支払うことになるため、保険料は割高になることが多いですが、死亡時や満期時には保険金が受け取れるうえ、中途解約をする場合には解約返戻金を受け取ることができます。
また、保険期間は10年や20年といった「年数」で設定するパターンと、「50歳まで」「60歳まで」といった「年齢」で決めるパターンがあります。
一般的に更新はなく満期日を迎えると契約終了となります。
養老保険の3つのメリット
ではここで、養老保険のメリットについて確認していきましょう。主なメリットには次の3つがあります。
- 目的に合わせて満期日を設定できる
- 「死亡保険金」か「満期保険金」いずれかが必ず受け取れる
- 貯金が苦手な方でも自動的に貯蓄できる
目的に合わせて満期日を設定できる
養老保険には、保障を付けながらも目的に合わせて貯蓄ができるという特徴があります。
そのため、「10年後の住宅ローンの頭金」や「20年後の子どもの独立」などに合わせて、満期日を自由に設定してお金を準備することができます。
もちろんその間は生命保険としての保障も受けられるので一石二鳥です。
「死亡保険金」か「満期保険金」いずれかが必ず受け取れる
掛け捨て型の定期保険などでは、保障期間中に万が一のことがあった場合に死亡保険金を受け取ることができますが、無事満期を迎えたときには満期保険金を受け取ることができません。
また、養老保険と同じ貯蓄型の保険であっても終身保険の場合は、満期日の設定がないので生存中に保険金を受け取ることができません。
しかし、養老保険は生死混合保険なので、万が一のことが起きたときも満期日を迎えたときも同じように保険金を受け取ることができます。
貯金が苦手な方でも自動的に貯蓄できる
「貯金は大事なものだとわかっているけれど、どうしても苦手!」という方もいるでしょう。
そのような方でも、養老保険に加入し保険料を口座引き落としにすることで、自動的に貯蓄することができます。
もしこれが銀行預金だった場合、お金が足りなくなったときにすぐに引き出せてしまいますが、保険なら解約する手続きが必要になりすぐその場で資金化できるわけではないので、解約を思いとどまる効果もあります。
養老保険の3つのデメリット
一方で養老保険には以下のような3つのデメリットがあります。
- 一生涯の保障が得られない
- 以前ほど予定利率が高くない
- 保障の見直しがしづらい
一生涯の保障が得られない
すでに触れましたように、養老保険は契約時に満期日を設定するため、必ず満期日が到来してしまいます。
そのため、一生涯の保障が得られないというデメリットがあります。
一生涯の保障を得たいという方は終身保険への加入がおすすめです。
または、保障は終身保険でカバーし、養老保険は貯蓄として利用するという方法もあります。
以前ほど予定利率が高くない
養老保険は貯蓄効果もあるとご説明していますが、実は以前に比べて予定利率が低下しており、貯蓄商品としての魅力はそれほどないというのが現状です。
昔話になりますが、バブル期にはほかの金融商品同様に養老保険も高い利率を誇っていたため人気のある商品でしたが、昨今の低金利時代においてはあまりおすすめできる商品ではないのです。
そのため、どうしても養老保険で貯蓄をしたいという場合は、各保険会社の商品の予定利率を細かくチェックし比較することが大切です。
保障の見直しがしづらい
養老保険のように貯蓄性のある保険は、中途解約をすると解約返戻金を受け取れますが、元本割れしてしまうことが多いです。
つまり、払い込んだ保険料分が全額戻ってくるわけではないということです。
そのため、中途解約はできるだけ避けなければならず、仮に契約期間中に「あの保険に加入したい!」というものが見つかったとしても、簡単に解約して乗り換えると損してしまいます。
保険は一度加入した後も定期的に保障の見直しをすることが大事ですが、養老保険では見直しがしづらいというデメリットがあります。
保険金に税金がかかることがある
養老保険の満期保険金や解約返戻金、死亡保険金を受け取るときに、税金がかかることがあります。
もちろん、すべての人にかかるわけではありませんが、「契約者」「被保険者」「受取人」の組み合わせ次第で課せられる税金があるのです。
満期保険金を受け取るとき
【契約者=受取人の場合は「所得税」】
たとえば、契約者が夫、受取人も夫の場合、夫が保険料を支払って満期金も夫が受け取るので、所得税の課税対象となります(ただし、一時所得特別控除50万円が利用できます)。
なお、「金融類似商品(※)」とみなされる場合は源泉分離課税となります。
※金融類似商品:一時払い養老保険など契約期間が5年以下のもの、または契約日から5年以内に中途解約したもの
【契約者≠受取人の場合は「贈与税」】
たとえば、契約者が夫で受取人が妻の場合、夫が保険料を支払ってきたものを妻が受け取ることで贈与があったとみなされ、贈与税の課税対象となります。
一般的に、贈与税は最も税負担が大きくなります。
死亡保険金を受け取るとき
【契約者=被保険者の場合は「相続税」】
契約者と被保険者が夫で、受取人が妻の場合、夫が支払った保険料を妻が受け取ることで、亡くなった夫からの相続財産とみなされ、相続税の課税対象となります(ただし、相続税の非課税制度あり)。
【契約者=受取人の場合は「所得税」】
契約者と受取人が妻で、被契約者が夫の場合、妻が保険料を支払っていて夫の死亡により保険金を受け取るので所得税の課税対象となります。
【契約者≠被保険者≠受取人の場合は「贈与税」】
契約者が妻、被保険者が夫、受取人が子どもの場合、妻が保険料を支払っていて夫の死亡により子どもが保険金を受け取るので、妻から子どもへの贈与があったとみなされ、贈与税の課税対象となります。
養老保険はこんな方におすすめ
これまでご紹介してきた内容から、養老保険は以下のような方におすすめの保険といえます。
- 保障と貯蓄の両方に備えたい方
- 貯金をするのが苦手な方
- 保険料の掛け捨てはもったいないと思う方
養老保険の一番のメリットは保障を得ながらも貯蓄ができるという点にありますので、両方を兼ね備えたいという方におすすめです。
また、貯金が苦手な方や掛け捨て型の保険はもったいないと思う方にとっても選択肢のひとつとなるでしょう。
ちなみに、貯蓄の目的が子どもの教育資金なら「学資保険」が、老後資金の準備なら「個人年金保険」といった方法もありますので、併せて検討することをおすすめします。