「損害保険」とよく耳にするけれど、具体的にどのような補償があるのかわからないという方は少なくありません。
自動車に乗る方は「自賠責保険」や「任意保険」に加入しますよね?
また、住宅を購入または建築した方などは「火災保険」に加入すると思います。
そのような自賠責保険・任意保険や火災保険などが損害保険に該当しますが、実はほかにもさまざまな種類の損害保険があります。
損害保険は、日常生活におけるさまざまなリスクに備えるための保険なので、毎日を安心して暮らしていくために欠かせない補償なのです。
損害保険とは
損害保険とはどのような保険のことをさすのでしょうか?
まずは、保険の対象となるものはどういったものか、保険金の支払われ方、保険期間などについて確認していきましょう。
保障対象は「もの」や「財産」
損害保険の保障対象は、個人の「もの」や「財産」で、偶発的な事故や災害によって受けた被害を補償してくれる保険です。
保障額は対象となる「もの」や「財産」の価値に合わせた金額を設定します。
一方、生命保険の保障対象は「ひと」で、病気やけがで入院・手術を受けた場合、または死亡した場合などに保険金が支払われるものです。
保障額は加入者の希望により自由に設定することができます。
生命保険の場合、「保障額はどのくらい必要なのか?」をさまざまな点から検討しますが、損害保険は保障額の基準があるため、迷うことなくスムーズに手続きをすすめることができます。
保険金は「実損払い」
損害保険で受け取れる保険金は、生命保険とは異なり、被害に遭った損失分のみとなります。
生命保険であれば、死亡保障3,000万円の保険に加入していた場合、万が一のときには死亡保険金を3,000万円受け取ることができます。
しかし、損害保険の場合は、そもそも「もの」や「財産」の価値以上の保険をかけることができないうえ、損害を受けて保険金を受け取るときも契約時に定めた保険金額を限度とした「実損払い」となります。
契約期間は原則1年
損害保険の契約期間は原則として1年間で、契約満了時に自動更新していくことがほとんどです。
ただし、自動車保険では2年や3年契約といった商品があり、火災保険も10年という長期契約があります。
基本的に契約期間が長期であるほど保険料が割引されて安くなることが多いです。
損害保険の種類
損害保険は、日常生活における多様なリスクに対応できるよう、幅広い種類のものが販売されています。
個人向けだけではなく法人向けの損害保険も販売されていますが、ここでは個人向けの主な損害保険の種類について、その内容をご紹介していきます。
自賠責保険
自賠責保険は、「強制保険」ともいわれているように、すべての自動車やバイクに加入が義務付けられている保険です。
交通事故で他人を死亡させてしまった、またはケガを負わせてしまい損害賠償責任を負った場合に、保険金が支払われます。
保険金額は被害者の状態に応じて、以下の上限額が決められています。
- 後遺症が残り常時介護が必要になった:最高4,000万円まで
- 死亡:最高3,000万円まで
- けが:最高120万円まで
ちなみに、自賠責保険は被害者の人身災害のみを対象としているため、運転者自身のけがや自動車の修理代などは保険金が支払われませんのでご注意ください。
自動車保険
自動車保険は、自賠責保険でカバーされない運転者自身のために任意に加入する保険です。
また、自賠責保険では対人補償の上限が4,000万円までなので、それ以上の補償額が出た場合にも保険金が支払われます。
自動車保険の主な補償内容は以下の通りです。
- 人身傷害補償保険:自分のけがの補償
- 搭乗者傷害保険:自分や同乗者のけが・死亡補償
- 無保険車傷害保険:無保険車からの被害による補償
- 車両保険:偶然の事故による自動車の損害補償 など
自動車保険にはさまざまなオプションがあるので、安心できる補償内容となるように自由に組み合わせることができますが、補償内容が多くなるほど保険料は高額になります。
火災保険
火災保険には、火災を中心とした基本的な補償タイプの「住宅火災保険」と、住宅にまつわるリスクを総合的に補償する「住宅総合保険」のふたつのタイプがあります。
「住宅火災保険」は、火災、落雷、風災・ひょう災・雪災、破裂・爆発といった災害による被害を補償します。
一方、「住宅総合保険」は「住宅火災保険」の補償内容にプラスして、水災、水漏れ、盗難、物体の落下・衝突、暴行・破壊といった災害による損害もカバーしています。
火災保険の対象は「建物」と「家財」があり、保険金額は「再調達価格」といって同等の建物を建て直す、または購入するのに必要な金額を設定することが一般的です。
地震保険
地震や噴火、またはこれらによる津波が原因で起きた火災などにより建物や家財に損害が出た場合に保険金が支給されます。
地震保険は単独で契約することができず、火災保険にセットして申し込みます。
すでに火災保険に加入している場合は、途中から地震保険を付けることもできます。
地震保険は建物と家財の別々に契約することになり、補償金額は火災保険金額の30%~50%の範囲内で、建物は5,000万円まで、家財は1,000万円までが限度となります。
ちなみに、免震・耐震構造の住宅の場合、地震の被害に遭うリスクが小さくなるため保険料が割引になる制度もあります。
傷害保険
突発的な事故によるけがで入院・通院した場合や死亡した場合に、「入院保険金」「手術保険金」「死亡保険金」「後遺障害保険金」などが支払われます。
補償の範囲はさまざまあり、日常生活全般なら「普通傷害保険」や「家族傷害保険」、自転車に乗っている際の事故に備えるなら「自転車総合保険」、海外旅行中のけがに備えるなら「海外旅行傷害保険」といった種類があります。
傷害保険の補償対象になる具体的なケースは以下の通りです。
- 自転車で転んでけがをした
- 料理中にやけどをした
- 旅行中にけがをした
- 交通事故で死亡した など
いずれも誰にでも起こり得る事故なので、傷害保険で備えておくと安心です。
医療・介護保険
病気やけがで入院する際の治療に備える「医療保険」や、要介護状態になったときに備える「介護保険」もあります。
医療保険は、治療費の一部や入院費用、先進医療を受ける際の技術料を補償してもらえます。
介護保険では、医療機関や介護施設への支払いや在宅介護を受ける際の費用を補償してもらえるほか、自宅を介護用にリフォームする費用も補償対象となっています。
個人賠償責任保険
他人の「もの」を破損してしまった、または他人にけがをさせてしまったことで、法律上の損害賠償責任を負った場合に備える保険です。
具体的には、以下のようなケースが補償対象となります。
- 飼い犬が散歩中に他人にかみついてけがをさせてしまった
- 自転車で走行中、歩行者にけがをさせてしまった
- 買い物中、お店の商品を破損してしまった
個人賠償責任保険は、自動車保険や傷害保険、火災保険に特約として付帯することができますが、重複して加入していることもあるので保障内容を再確認してみましょう。
また、家族の中の一人が契約者となっていれば、以下に該当する家族すべてに補償が適用されます。
【補償対象になる家族】
- 被保険者本人と配偶者
- 被保険者本人または配偶者と生計を一にする同居親族
- 被保険者本人または配偶者と生計を一にする別居の未婚の子